約4割の日本人は
アルコール分解能力が低い
「お酒に弱い人でも飲んでいれば慣れるよ」と
聞いたことがあると思いますが、
実は弱い人が飲み続けると
身体を蝕むことになってしまいます。
今回は、お酒が強い人と弱い人がいるのはなぜか?と
アルコールが弱い人の判断方法を解説します。
お酒が弱い人の割合として、
日本人は44%、中国人41%、タイ人10%、
フィリピン人13%、ヨーロッパ系白人0%、
アフリカ系黒人0%北アメリカインディアン0~4%
と言われています。
日本人はお酒に弱い人が多いんですね。
お酒に弱いっていうのは
どういうことなんでしょうか?
飲んだアルコールを処理する
酵素の一つがアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)
と呼ばれるものです。
アルコール脱水素酵素(ADH)によって、
アルコールはアセトアルデヒドになりますが、
このアセトアルデヒドを処理します。
ALDHの働きには人種差・個人差があって
・アセトアルデヒドが増えないと働かない『のんびりタイプ』
・少量のアセトアルデヒドでもせっせと分解する『せかせかタイプ』
があります。
『せかせかタイプ』の中でも、
『働き者のタイプ』と、『怠け者タイプ』の2つがあります。
日本人の約半数は、
『せかせかタイプ』を持っていないか、
持っていても『怠け者タイプ』なので
アルコールが弱い人が多いんです。
お酒を飲んで赤くなったり、
気持ち悪くなるのはアセトアルデヒドのせいです。
その処理能力が上戸と下戸を分けます。
アルコールは肝臓の
アルコール脱水素酵素(ADH)によって
アセトアルデヒドになり、
更にアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)が酢酸にさせて、
最終的には炭酸ガスと水になります。
ALDHにはアセトアルデヒドが少なくても働くALDH2と、
高濃度にならないと働かないALDH1があります。
このALDH2があるとアルコールを
瞬時に分解してくれるので
さきほど説明した『せかせかタイプ』のADLH2を
多く持っているかどうかが、お酒に強い弱いを決めます。
ALDH2は遺伝するものですから、
お酒に強い弱いは生まれつきの体質です。
日本人の約半数は
生まれつきALDH2が弱いか欠けていますので、
外国人に比べてお酒に弱い人が多いです。
ところが、アセトアルデヒドは
ミクロゾームエタノール酸化酵素(MEOS)
という酵素でも分解されます。
このMEOSは鍛えると強くなるので、
飲めない人が飲む練習をしていると
飲めるようになることもあります。
これがお酒に慣れるってやつですね。
ですが、MEOSは数週間お酒をやめていれば
もとの状態に戻ってしまいます。
それに、MEOSを使い過ぎると
肝臓に負担がかかり過ぎてしまうので
肝障害を起こしやすくなります。
もともと飲めない人が飲めるようになったというのは、
体にとっては危険なことのようです。
それ以外に、
多量の飲酒は肝臓に脂肪肝をつくって、
最終的には肝硬変に至り
肝臓の癌に変化していく恐れがあります。
また、多量飲酒は肝臓のみならず膵臓や、
咽頭、食道、胃腸等の消化器疾患、
心臓などの循環器疾患、アルコール依存症など、
多くの臓器の病気の原因となるので注意が必要ですね。
アルコールは主に肝臓で代謝されますが、
その酵素活性には先程、説明したように個人差があって
日本人の40%は飲めない体質で、
5%は全く飲めない体質なんです。
飲めない人が無理して飲むと
アルコールを分解するまで時間と労力がかかるため、
頭痛や動悸、吐き気など
すぐに気分が悪くなり健康被害を生じます。
その最たるものが、『一気飲み』です。
アルコール血中濃度が急激に上昇し、
酩酊~泥酔~昏睡状態となる危険もあります。
意識がない中で嘔吐してしまうと
呼吸するために必要な気管に詰まって、
窒息死してしまいます。
学生の一気飲みによる死亡記事が、
毎年必ずと言っていいほど
新聞報道されているのは残念なことです。
飲酒の強要は、お互い気をつけましょう。
お酒が弱いなら…
上の4つの判断で
あなたが弱いタイプであったなら、
無理な飲酒は避けましょう。
ALDH2*2(お酒に弱い人がもつ遺伝子タイプ)を
もつ人が無理をしてしまうと、
もっている人に比べて
アルツハイマー病になる可能性が1.6倍になります。
また、ALDH2酵素活性が低くて、
アルデヒド類を解毒する力が低下していると、
活性酸素によって生じる
毒性アルデヒドを生じさせないようにすることが大切。
つまり、ALDH2酵素の働きが弱い人は、
活性酸素の作用を弱めるために
抗酸化ビタミン(ビタミンEなど)を
積極的にとることが大切と言われています。
ビタミンEはアルツハイマー病の予防になることも
わかってきています。
無理にお酒を飲んでも、
アルツハイマー病の予防になるどころか
癌になりやすくなるので、
特にお酒に弱い人(=ALDH2*2遺伝子を持つ人)の
多量の飲酒は控えることが大切です。
自分がアルコールに対して
弱いかどうか見極める方法
1:DNA検査
調べる方法の1つに、
アルコール感受性遺伝子検査キットという方法があります。
これは、ただ単にお酒が強いか、弱いかを
調べるだけの検査ではありません。
どんな体質なのか?
飲酒により、将来健康に対しての
どんな悪影響がでやすいのか?
を分析することが出来ます。
アルコール代謝関連遺伝子検査では、
先程にも説明した
ADH2とALDH2の遺伝子の型を調べます。
これらの遺伝子を調べると
お酒に対するあなたの適応能力を知ることができるので、
体質に合ったお酒との付き合い方がわかりますね。
「なんとなく心配だな」というあなたは
遺伝子は基本的に変わらないものなので
一度、調べてみるといいですね。
2:アルコールパッチテスト
アルコールパッチテストの方法は
1. パッチテープに市販の消毒用アルコールを、
2~3滴しみこませます。
2. 1.を上腕の内側に貼る。
3. 7分後にはがして、その直後(5秒以内)に、
ガーゼが当たっていた部分の肌の色を見ます。
4. はがしてから10分後に、もう一度肌の色を見ます。
・剥がした直後に赤くなったらDD型、
・剥がした10分後に赤くなったらND型、
・無反応はNN型
そして、
DD⇒全く飲めない。絶対に飲んではいけないタイプです。
ND⇒アルコール分解酵素が少ないので、
なるべく自重するようにします。
NN⇒アルコール分解酵素がしっかり働いている人。
アルコールに強いので飲んでも問題ありませんが、
飲み過ぎには注意しましょう。
3:顔が赤くなる
赤くなる人は弱い証拠です。
1~2週間アルコールをやめて、
再び飲んだ時に真っ赤になる人もNG…
アルコールを初めて摂取した時、
又は何週間ぶりかにアルコールを摂取した時に、
顔が真っ赤になる人は
分解酵素が少ない可能性が高いです。
初めて酒を飲んだときのことを
思い出してみましょう。
あなたは顔が赤くなりましたか?
これは『フラッシング反応』と言って
お酒に弱い人に特徴的な症状なんです。
4:飲んだ翌日の口臭がきつい
アルコールの分解速度が遅いので、
翌日に口臭という形で残ってしまいます。
飲んでから時間が経過しているのに
『お酒臭い』という方は
弱いという傾向にあるようです。
人によってアルコールを飲んだとき
分解できる早さが違います。
なので少量でも分解するまで
長く時間がかかる人や、
多く飲んでも時間がかからない人など様々です。
自分に合った飲み方を心がけましょう。
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