人間の脳はマイナスの出来事を記憶する
今回は心配し過ぎて
不安になってしまう気持ちを
どうすれば消せるか書いていきます。
誰でもイヤな出来事、悲しい出来事、
恐ろしい出来事の記憶を
たくさん持っています。
そもそも人間の脳はマイナスの出来事を
記憶していくようにつくられているからです。
本来、マイナスの出来事の記憶は、
生きていくことに役立って、
生きる力を奪うものではありません。
同じような体験をしても人によって、
自分を苦しめる場合もありますが、
逆にイヤな記憶を上手に忘れたり、
「大変だったけど良い体験をした」と
プラスに捉えられるかで
その先の行動は変わっていきます。
強烈な怒りや悲しみを伴う体験をした場合、
強くそれを記憶にとどめようとします。
その理由は、
次に同じようなことが起こりそうな時に
それを避けなければならないからです。
なぜ避けないといけないか?
それは、生命の危機から守るためです。
イヤな出来事の記憶がなければ、
せっかく大変な体験をしても
また、同じことを繰り返してしまい、
命を落とす確率が高まってしまいます。
脳のそうした記憶のメカニズムは
生きながらえていくために獲得した
非常に大切な能力の1つと言えます。
ところが、自ら獲得した能力によって
かえって大きな苦悩を抱え込むケースもあります。
たとえば…
心臓病は3大死因の1つ
アメリカの広告代理店J・ウォルター・トンプソン(JWT)が
調査・発表したレポートでは、
世界11カ国の「心配性」の具合が比較されています。
「何か心配事がありますか?」に
「はい」と答えた人の割合を
国別に集計したのが以下の表です。
日本人の3大死因の一つに数えられる心臓病。
高血圧、糖尿病、肥満などの
生活習慣病を抱えた人などが発症しやすいと
いわれていますが、
発症の原因には、
その他に精神的ストレスも大きく関連しています。
最近では、
「心配性の人は心臓病になりやすい」という
アメリカの研究チームの報告もあります。
ではどうしたら心配しすぎる状態から
抜け出すことができるでしょうか?
心配しすぎてしまうメカニズムから解説していきます。
情動と記憶はセットになっている
情動というのは嬉しい、悲しい、怒り、恐れ
といった感情が揺れ動くことです。
特にマイナスの感情である『悲しい』とか
『許せない』『怖い』気持ちは鮮明に記憶されやすくなります。
「夜道で後ろから変な人がカツカツとついてくる」
といった強い情動がともなった体験は
記憶にも強く残ります。
記憶に残ることは問題ないのですが、
これが今後の行動に悪影響を及ぼしたら
問題になっていきます。
たとえば、
24時間安全だと言われている所も夜になると
行けなくなってしまえば、
夕方以降の勉強会やセミナーに参加できなくなります。
こうなってしまうと、
本当は自分の成長に繋がるはずの行動も
制限されてしまいますよね。
このように過度な不安は問題になります。
アレルギーは自己免疫疾患といって
過剰に身体を守ろうとして起こる反応ですが、
過度な不安も同じです。
失敗した記憶は身体を守る上で
大切な役目を果たしますが、
過剰に不安になってしまっては
アレルギーと同じで自分を苦しめる羽目になります。
たとえば、
僕が幼少期に母親に
「早く寝ないとベランダからお化けが来るよ」と
脅されてビビっていましたが、
ある時、勇気を出してベランダを覗いてみると
何もいませんでした。
それを知ったことで
「夜でもお化けはやってこない」と
過度な不安はなくなりました。
これと同じで、
あなたが不安に思っていることも
実は『現実には起きていない』可能性があります。
では次から具体的な
不安感の取り除き方を解説していきますね。
ゴキブリも慣れる?トラウマ回避の方法
強いマイナスの情動は記憶とセットになりやすいので、
その強い情動を鈍感にさせてしまうことで
トラウマを回避することができます。
過去の過酷な体験を
トラウマ化させてしまうのは
先程も書いたように
情動と記憶がセットになっているからです。
マイナスの情動が
強すぎて問題になっている場合は
その情動を鈍感にさせてしまえばいいんです。
イヤな感情を鈍らせる方法は2つあります。
1:その体験を繰り返し、慣れる
「え?慣れないから大変なんだけど」
と思われるかもしれませんが、
別の言い方をすると、
その体験は自分の身に何も危険を及ばさない
という事を体験的に繰り返して知る
ということです。
ゴキブリの研究をしている
あるアメリカの有名大学の教授は
ゴキブリの分泌物が
医学的に役立つ可能性を秘めている
ということで熱心に研究しているそうです。
その方は、研究室だけにとどまらず、
自分のアパートにも飼育用ガラス箱を置いていて、
珍しいゴキブリが入っているようです。
それがリビング、キッチン、寝室に
ゴキブリが入っているケースが
びっしりと置いて研究しているなんて
想像しただけでゾッとしますよね。
その人の奥さんも一緒に住んでいるのですが
普通の女性と同じでゴキブリは大の苦手。
ところが、
そんな方でも、それほど時間を費やすことなく
ゴキブリ満載のアパート暮らしに
慣れてしまったそうです。
いい意味でも悪い意味でも
同じことを繰り返していると『慣れる』のです。
慣れる時のポイントしては
克服したい事を自分の身に危険が起きない状態にして
体験を繰り返すことです。
そうすると、
脳は「これは問題ない」と認識して
『慣れる』ようになります。
高所恐怖症で高いところが
苦手であっても絶対に安全な高いところに
繰り返し行っていれば慣れてしまいます。
怖くて避けているだけでは慣れません。
2:ハ虫類脳を鎮める
ハ虫類脳というのは
人が進化する前のハ虫類の時から
ある脳のことです。
「怖い」「恐ろしい」
といった感情の部分でもあって
大脳辺縁系と呼ばれています。
ここが過剰に働くと心配性にもつながってしまいます。
人には前頭葉が発達していて
便宜上、『人間脳』と呼びますが、
ここが働いているときは
ハ虫類脳が鎮まります。
逆にハ虫類脳が活発になっているときは
人間脳が働きにくくなる関係にあります。
この関連性を使って
過度な不安を消すことができます。
それは、論理的に考えることです。
「自分が感じている不安は正しいのか?」
「正しくないとしたら、、、」
と頭の中で考えると
人間脳である前頭葉が活発になってくるので
ハ虫類脳の働きが収まってきます。
『仮想の自分には勝てない』と知る
現実の結果よりもいい結果を想像して
後悔してしまうのは良くあることです。
たとえば、
高熱が出てA大学の試験を受けられず、
結局B大学に行った山田さんは
いまの会社でうだつが上がりません。
一方、同級生の佐藤さんは
A大学に合格して今は出世をしています。
山田さんは同等の学力を持っていたのに
B大学にしか行くことができず、
それを自分が出世できない理由だと考えています。
自分がイヤな気持ちになったり
今後が不安なのは
「あのときの熱のせいだ」
と思ってしまいます。
ですが、A大学を卒業して
勤め先で出世する自分というのは
想像の世界です。
今の自分よりも
誰かと比較したり
仮想の自分と戦っても
負け続けの道を歩むことになります。
まとめ
過去を悔やむことは
勿体ないことですので
その過去の体験を踏まえてどうするか?
に着目する必要があります。
過去に縛られてクヨクヨしたいか?
それとも
大変な過去があったけど
前向きに過ごしていか?
冷静に考えれば
後者を選ぶ人が多いんじゃないでしょうか。
不安は過去に体験した
イヤな情動とセットになっている記憶が
大きく関係しています。
不安になる体験は
実は危険がないということを
繰り返し体験して『慣れる』
そして、
人間脳を使ってハ虫類脳を鎮めるように
アプローチしてみてください。
この記事は下で話されている本を参考にしています。
最後まで読んでいただきまして
ありがとうございました。
この記事へのコメントはありません。